イ・ソジンの魅力
2007年 08月 16日
イ・ソジン氏ははっきり言って悪役顔だと思います。というのは私が最初に彼を見たのが「星を射る」のとんでもない悪役だったからかもしれませんが。声は”低くて渋い”とも言えるが、”だみ声”とも言えるもの。目付きは鋭く睨んだような表情がとっても様になり・・・つまりは悪役がとっても似合う人だと思います。
そんな特性を生かすかのように、主役級のキャラクターとしてドラマに登場するようになってからも、どこか暗い陰を背負った”ひねた”キャラクターをいつも演じているように思います。「茶母(チェオクの剣)」では、両班(貴族階級)の家に生まれながら母は妾であるためハンデを背負って生きる人物、「火の鳥」では幼い頃に両親を失った苦学生でありながら大金持ちのヒロインと恋に落ち苦しむ人物、「恋人」では両親を知らずに孤児院で育ち、そこを脱走した後、ヤクザの親分に拾われてヤクザとして生きる男。思えば「恋人」のガンジェの設定は彼の特性にうまく合うようにできているもので、だみ声もヤクザには必要だし、悪役顔も様になるし・・・ヤクザ色が強すぎると陰が濃すぎてうんざりしてしまいそうなんですが、それをキム・ジョンウンのおっちょこ演技でうまくふわふわした雰囲気がミックスされて調和されているという、ナイスなドラマなのでした。(彼等の不倫めいた関係にも悪役顔はパンチが効いているかも。)
話は脱線ですが、NHK朝ドラ「どんど晴れ」をなんとなくずっと見ているのですが、男性主人公を見ていつも思うのはこの人はなんと陰ひとつ見当たらない男なのか、ということ。この場合いい意味ではありません。この男性の設定は、格式ある旅館に産まれ、それがために父は失踪、母は仕事のしすぎで彼が幼い時に亡くなっています。こういう男性を演じるのに陰一つないのは痛いです。俳優、特に男性の演技者に必要なのは程よい陰なのだ、と彼を見て思い至ったのでした。(単に私が暗い男子が好きなだけかもですが。)翻ってイ・ソジン氏。私は演技を離れたイ・ソジン氏にはこれっぽっちも興味がないのだけれども、それはイ・ソジン氏本人には陰らしきものが全く見当たらないため。なんだかお金持ちの出身らしく・・・財閥?財閥のボンボンが俳優なんてやっていたりすることはなさそうですが、なにせいいお生まれらしい?アメリカで経営学を学んだ、とか言ってお勉強ができる人風なこともよく言われています。嫌味な男、ってなものです。そんなわけで「茶母」の時は逆に彼本人の環境を反映させてドラマを見てしまっていたので陰を陰として認識できなかったかも。もう一度ちゃんと、NHK改造版でないものをぜひ見てみたいものです。