人気ブログランキング | 話題のタグを見る

-大好きなことと腹立たしきことを発散すべくつぶやくブログ-


by chatttenoire
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

「悪霊」

 新年早々ですが、昨年の読書感想です。
 電車の中で読書をするとちょっと酔ってしまうときがあるので、元気な時だけ通勤読書をしているんですが、アマゾンのプライムがどうとかいう無料の本と、青空文庫で無料読書がほとんどの中、「悪霊」はお金を出して読みました。(新潮文庫 江川卓訳で読みました。キンドルで読んだ方がむしろ字が大きくて読みやすい。昔、同じ江川卓訳で読んだことがあるのですが、ほとんど忘れているのと、前に読んだ時からもう1回読みたいと思っていたことを思い出して、ついに読みました。)
 最初に登場するステパンさんは、ドストエフスキー作品によく登場するような道化のような役回りの、生きることに不器用そうで、はらはらするようなしかし心温まるような人物で、この感じは覚えていたのですが、ステパンさんが男前だったとは夢にも思っていなかった!(前回ちゃんと読んだのかなあ。)そして、スタヴローギンの母、ワルワーラ夫人の微妙な女心、これは初読の時は一切わかってなかった気がする。私も中年の女になっているので、ワルワーラ夫人とステパン氏の関係がとても面白かったです。特に、ステパン氏がお亡くなりになる時のワルワーラ夫人の行動。その前に、ステパン氏が家出をして、体調を崩してにっちもさっちもいかなくなったところで聖書売りの女に助けられてなんとか命をつないでいたところに現れるワルワーラ夫人のくだり、感動的でした。(聖書売りの行動を読みながら、ショッピング王ルイのボクシルを思い出した。一緒にいても得になることは一つもないのに、面倒をみてしまう女、面倒を見られるどこかかわいい男、ルイも歳をとってもし無一文だとこういう人物になっているだろうか?と思わされた。)
 あと、レンプケとその浅はかな妻にはらはらしつつ、ピョートルの憎らしいこと。シャートフの殺人という事件の直前にシャートフの元妻が帰ってきてお産をする、という感動的なシーンを用意して、そのお産の手伝いにシャートフ殺害に加担した人物の妻が加わるという彩を加える見事さ。キリーロフの自殺前のキリーロフとピョートルの会話のかみ合わなさ、同じくピョートルとニコライの会話のちぐはぐさ・・・。印象的なシーンが色々あるのですが、最後スタヴローギンの告白の部分、気分が悪くならないか心配しながら恐々読みました。やっぱり前回ちゃんと読んだのかなあ・・・。また、この3年の間にもう1回読み返したいです。

by chatttenoire | 2018-01-01 23:11 | Comments(0)