「スイミング・プール」
2005年 07月 15日
そして今日は、脈絡ないですが、おととい見た「スイミング・プール」の感想について書きます~。気持ちの良さそうなスイミング・プールにセクシーな水着&ミステリアス、今の季節おすすめですよ~。
「スイミング・プール」(フランソワ・オゾン監督 2003年/フランス映画/102分)
この映画は映画館でやっている時にかな~り見たかったのですが・・・見そびれて(こういう映画はわが町にはまず来ません。)今頃見ることに。見る前から久しぶりのヨーロッパ映画なのでなんだかわくわくしてしまいました・・・。そして・・・期待どおりのいい映画。
まず、“二人の女優(シャーロット・ランプリング&リュディヴィーヌ・サニエ)の競演”と謳われていることはなんとなく知っていたのですが、やっぱりそこが一番の見所だったでしょう。ただ、シャーロットが何者なのか、知っているのといないとでは、この競演に下す評価がかなりかわるんじゃないかな、と思ったのですがどうでしょう?全く知らない人はこの女、もしくはこの“おばさん”只者じゃない・・・と月影先生を見るように思うでしょうか?(そのせいか、夫は見入っていた。)若かりし日のシャーロット様の陰鬱な美しさが脳に刻み込まれている私としては、若さが失われた今となってもその質が尚保たれている(もしくは更に上回ってさえいる)ことにぞくぞくしてしまうのでありました。それにしてもすごい持って行き方。片やシャーロット様。片や、若さではちきれんばかりの豊かな胸。足。(やっぱり夫は見入っていた。私も見入りましたが。)ここで、いつものパターンだと、おばさんの方はほんの添え物程度、もしくは存在自体を消された無視状態に終わるか、若い者と比較されて惨めさを強調、くらいに終わるところが、意地悪く若さと老いを対照するものの、充分均衡させてみせているのだ。老いが若さに負けるなんて当然。というわけでシャーロット様に脚光があたり、サニエは添え物にさえ思えたりするのもまたいつものパターンで、サニエにもちゃんと存在価値が与えられて、シャーロット様とタイマン張ってるよ、という名誉を与えてしまうこととなったようです。
しかし、私としてはこんなおばさん、映画にはなかなか登場しないよね、ということで圧倒的にシャーロット様に軍配を上げます。(それに主人公だしね~。)おばさんの表情を追うだけで、随分スリリング。そしてサニエの大きな胸が絡み、もう一気に最後まで見てしまいます。そして、最後の最後にあれ~~~!!!と謎解きものに。面白いです。
以下ネタバレ含む・・・
監督のネタバレ書物もあるようなのですが、私のへたくそ謎解き(見た後しばらく悩んだ。)では・・・ランプリング演じる作家サラは出版社のボスの言葉に従い気分転換に南仏の別荘へ。そこで出会うサニエ演じるボスの娘が登場する辺りからはサラの空想もしくは出版された小説「スイミング・プール」。ボスが電話に出なくなったところは間違いなく小説もしくは空想でしょう。電話に出ないのは見ながらかなり気になっていました。あと思わせぶりなコネタがたくさん。映画の中に小説があることになるのですが、どこからどこまでが小説なのか、謎解き追求すればわかるのかもしれないけど、あんまり意味がないような気も。ちょっとダサい感じの神経質なサラが最後格好よくなって新しいタイプの本を出版して、ボスを退ける、しかもボスの娘と結託して・・・っていう所が素敵な映画。それで充分な気が。ただし、実際は娘は別人で、最後のサラの表情がさばさばしてないところはピリッと辛口。
この監督の映画は「8人の女たち」と「まぼろし」を見たのですが、内容として一番重くて濃くて詰まっているのは「まぼろし」だと思います。そして「まぼろし」は真面目。「スイミング・プール」も「8人の女たち」も遊びが強いですが、感覚が“ありきたり”でないところが面白い監督です。
おまけ:
若かりし日のシャーロット・ランプリング
「地獄に堕ちた勇者ども」じゃないでしょうか?違うかな?