カテゴリ:ジェイン・オースティン( 12 )

ジェイン・オースティンな秋(マンスフィールド・パーク)

 秋というか、夏頃からまたジェイン・オースティンを読んでいます。
 「説得」「分別と多感」「高慢と偏見」ときて、中野康司訳「マンスフィールド・パーク」を読みました。(買ったまま寝かしていました。)大島一彦訳を読んだことがあったのですが、訳が私には難しくて全く読めていないに等しかったと思います。ファニーとエドマンドが全く好きになれず、「エマ」と並んで好きでないジェイン・オースティンの部類だったのですが、BBCドラマ?をDVDで見てから、サザトン・コートのお庭での人間模様など、ファニーやエドマンド以外の人間模様が凝った造りで描かれた面白い小説かも?とハタと気がついて、もう一度読み返そう、と思っていたのですが、思ってから5年くらい経っています。
 中野訳はやはり圧倒的に読みやすかったです。面白く最後まで読めました。しかしやはりファニーは面白い登場人物ではなく、その面白くなく地味なファニーを定点位置として、そこからマンスフィールド・パークに登場する人物たちを観察し、描かれる人間模様が面白いです。サザトン・コート、素人芝居での出来事はこの小説の長い仕込みで、そこから後半に一気に仕上がっていく感じがいいです。この小説ではマライアとジュリアの姉妹はファニーが直接重要な会話することが一度もないので(マライアやジュリア、特にマライアから見たファニーは話す価値も考える価値もない、といったところだったでしょうから)、最も間接的に描かれる人物といってもいい人物なのですが、それがために興味がひかれる二人の姉妹です。その運命の苛烈さときたら。エドモンドはやはり愛せない人物で、男性の都合のよさがうまく描かれていると思います。ファニーの母とバートラム夫人は似ている、という記述が途中でてきますが、ファニーも二人より道徳心が強く境遇のせいで(ノリス夫人に鍛えられたから?)働きものというだけで、同じようなおっとりとして物静かな人物で、そして美人、家系を感じます。自分の身分より上の意中の人物を射とめましたしね。
 次は、同じマンスフィールド・パークの大島訳に再挑戦するか、「エマ」に挑戦するか?
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by chatttenoire | 2015-09-13 22:44 | ジェイン・オースティン | Comments(0)

マンスフィールド・パーク

 中野康司訳ちくま文庫の「マンスフィールド・パーク」を購入。訳者あとがきによると、このマンスフィールド・パークをもってオースティン長編6作を全訳されたとのこと。2010年8月となっている。私が中野康司さん訳で持っているのは、「高慢と偏見」、「エマ」、「分別と多感」と、今回のを入れて4作。あとの2作もアマゾンのあなたへのおすすめの上位に登場して心がくすぐられるが、「ノーサンガー・アビー」は既に持っているものが読みやすかったことと、2種類を買うほどの小説ではないかなあ、というので見送り。「説得」は大島一彦訳のものを持っていて、この格調高い静かで美しい訳が気に入っているので、これ以上はないかなあと思っている。「マンスフィールド・パーク」は同じ大島一彦訳を持っているが、とても読みにくかった。中野康司訳の特徴は平易な言葉を極力使っているなあと思われる読みやすい訳。冒頭何十ページかを読んだが、既に読みやすい。
 マンスフィールド・パークという小説は、先ほども書いたとおり大島一彦訳が難しかったせいか、自分の理解力の無さか、最初読んだ時はとにかく面白くない小説だった。この原作を元にしたBBCドラマを見て、ああー、こういう話だったのかあ、と面白さがなんとなくわかったという具合。この小説の主人公はおとなしく、とにかく面白味がないように書かれている女性であるが、彼女の冷静な目を通して書かれた周りの人間模様が結構面白い。彼女が若干除けものにされているが故に当事者ではない面白さがあることに気がついた。新訳で読むマンスフィールド・パーク、新しい発見があるか楽しみだ。
 オースティン物、今年も結構買い集めた。(とにかくアマゾンに勧められるのでつい買ってしまう。)面白かったのは、「ジェイン・オースティンの優雅な生活」。知らなかったことがたくさん出てきてかなり面白かった。ぱっとここで思い出せないが、兄弟姉妹、父母の兄弟姉妹、更にその上の世代など一人ひとりについて、手紙やエピソードなど類推される彼らの個性、経済状況、オースティンとの関係から浮かび上がるオースティン本人についての作者の類推が書かれてあり、説得力があった。兄弟の中に障害者が何人かいて、親戚の間で助け合って面倒を見ていたこと、この時代の女性は結婚すると子供を生み続けなければならなくて、出産による死亡も多かったこと、結婚しないことも大変だったが、結婚することも必ずしも幸せとも言えなかったことがわかり、へー、の連続だった。
 逆に失敗だったのは、「高慢と偏見とゾンビ」。これはダメだった。

 オースティンとは話が変わるが、「失われた時を求めて」の新訳が出ているらしく・・・。「失われた時を求めて」は井上究一郎訳を読もうとしたことがあるのだが・・・一番最初の眠りか何かの話でこちらも眠りに吸い込まれてしまった。仏文学科だったので、なんとか読みたい、わかりたいと思っていたのだが・・・新訳のことを調べていたら、やっぱりこの訳は読みにくかったんだな、と、うれしい気持ちに。ただ、新訳は岩波版と光文社版と二つ出ているみたいで、どちらも評判が良く、どっちにしよう???と迷ってしまうが、ぜひどちらかを読んでみたいと思っている。どちらも14巻発売予定で、まだ1巻しか発売されていなくて、どうもゆっくり刊行されるようだ。まあとにかく1巻からだ。
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by chatttenoire | 2010-12-21 23:38 | ジェイン・オースティン | Comments(0)

「自負と偏見のイギリス文化」

 「自負と偏見のイギリス文化―J・オースティンの世界」新井潤美著 (岩波新書)
 買ったまま読んでいない本だったのですが、お休みの間にぼちぼち読みました。
 文学論やオースティン研究本、というのではなく、オースティン作品を面白く読むための時代背景やイギリス文化について、またおまけでオースティン関係のオタク現象についてざっくり紹介した本。
 私は”オースティン”に関係するものを見ると反応してしまい、こういった本を買ってしまうという、いわば薄くオースティンにはまっているような状態なのですが、今、オースティン・ブームみたいなものが世界的にあるそうでして、そのブームに私も乗っているんだなあ・・・と感じさせられる本でした。ただ、オースティンが好きな人、というものは大昔から存在したそうで、ただし、その方々は現在のミーハー集団とは違って、趣味の良い教養のある「ジェイナイト」というお高い人たちだったそうで、そういったへー~~!、という情報もありました。
 その他、オースティンの自伝的なお話は他に色々出版されているオースティン本とさして変わりないのですが(むしろ情報量が少ない)、私がまだ読んでいない初期の作品、未刊の晩年の作品についてあらすじや内容が詳しく書かれてあるところが面白かったです。特に「サンディントン」という遺作はこれまでオースティンとはこういう作品を書く作家、と私が思い込んでいたもの、また最終作の「説き伏せられて」から次の作品があったらこんな感じだろうな、とぼんやり感じていたものとは全く違った作品だったようである、という雰囲気が感じられて、これまたへー~~!、でした。
 それらのマイナー作品に加えて6つのメジャーな作品についてやはりあらすじとポイントが当時のイギリス文化的な背景紹介に絡めて解説されていくのですが、6つの作品の中で私があまり好きではない「エマ」や「「マンスフィールド・パーク」についての部分が興味深かったです。特に「エマ」の”階級観”が本当に気に入らなくて、これはしかし私にはわからない背景があるに違いなく、それを知りたい、と思っていたので、第4章の「アッパー・ミドル・クラスのこだわり―階級を示す目安は何か」という章はとても面白かったです。これを読んでついに「エマ」が面白く読めるか??あまり気がすすみませんが、今年中に挑戦してみようかと思っています。
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by chatttenoire | 2009-01-05 00:01 | ジェイン・オースティン | Comments(0)

ミステリチャンネル!

 かねてから見たいと思っていた「マナーハウス 英國発 貴族とメイドの90日」ミステリチャンネルで再放送される情報をほんの数日前にキャッチして早速チャンネルを取ってみました。このドラマ(ドキュメンタリー?)は、実際に存在するマナーハウスで、募集に応じて集まってきた人たちにが当時の生活を再現してみせる様を撮るというもの。再現される登場人物はご主人様一家から執事(この執事がスゴイ。)、料理人、メイド、ボーイと下の下まで徹底して再現。冷蔵庫の替わりに氷、ガスの替わりに石炭、トイレも尿瓶やおまるを使う徹底ぶり!勝手にジェイン・オースティンに分類していますが、時代はもっと後の約100年前の1900年頃。しかし身分の上下の感覚はほとんどかわりないんじゃないでしょうか。オースティンの小説やドラマでは、どうしてもご主人様一家の方に興味が集中してしまうのですが、このドラマではメイドやボーイの生活の方が遥かに見ごたえがあり、彼等の葛藤の行方がとても気になります。現在第2話まで見たところ。再現生活もまだ序盤です。第6話まであります。どんな風になっていくんでしょう。ミステリチャンネルを張り込んでいたらきっとまた再放送してくれそうだから、ぜひご覧あれ。
 で、せっかくチャンネルを取ったのでほかに何かないかと見てみたものが「ル・テスク家の殺人」。こういうミステリモノのドラマを見るのが久しぶりなせいか、面白い。まだ1話しか見ていませんが、続きをすぐに見たい!犯人が気になる!時代設定がマナーハウスの方とそれほどかわらないせいか(半世紀後かな)、おさらいのように執事、料理人、家政婦、メイドなどなどが登場して、思わず見入ってしまいます。ただし、時代物のミステリ物というとNHKでやっていたホームズとかマープルとか、なんとなく折り目正しいイメージがあるのだけども、フランス作なだけあってか、いい感じで乱れています。
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by chatttenoire | 2008-06-23 23:39 | ジェイン・オースティン | Comments(0)

高慢と偏見(ローレンス・オリヴィエ版)

 今、映画館で見たい映画(というか見なければならない義務感にかられる映画?)No.1は「王妃の紋章」で、先日せっかく神戸へ行ったのに、時間が合わなくて見られなかった!ショック!
 次に見たい映画は「ジェイン・オースティンの読書会」なのですが、こちらは6月に東京へ行く予定がありまして、その時にどうにかしたら見られそう・・・。それまでになんとしても原作本に再チャレンジしなければ、と思っています。
 そんなこんなでなんとなーくまたまたオースティン熱が上がってきています・・・。
 数日前に見た映画。「高慢と偏見」1940年公開のハリウッド映画。500円で売っています。なので買ってしまいました。ダーシー役はローレンス・オリヴィエで、彼のダーシー役が格好良くはまっていたため、コリン・ファースのダーシーまでは誰もオリヴィエを凌ぐことができなかったという噂の作品ですが・・・やっぱりハリウッド映画。イギリス俳優が出演しているのでどうかな、と思っていましたが、やっぱりハリウッド映画はハリウッド映画でした。原作の面白い部分、精神のこれっぽっちも表現されていない。でももしかしたら原作を読んでいなかったら、そこそこ楽しめる作品かもしれません。エリザベス役の女優さんはグリア・ガースンというそうで、結構有名女優さんのようです。クラシックな美しい女優さんでした。エリザベスの姉ジェイン役の女優さんはちょっと悪女役の顔付きかな(天井桟敷のナタリーに似ている気がした)、と最初に思ってしまい、ずっと何かが違う、と思ってしまった。あとエリザベスとジェインの間に姉妹の雰囲気が見当たらなかったかなあ・・・。こういう細かい表現は昔の作品だから・・・と思いつつも、昔の作品でも素晴らしい表現の映画はいくらでもある!と思い直したり。
 この作品を見て、またBBC版が見たくなり、一気に見てしまいました。比較感想は・・・恐らくオリヴィエ版の方がスターが多く出演している作品なのですが、この物語はお金持ちは登場するものの、ささやかな家庭的なお話なのでスター共演が似合う作品ではそもそもないんだなあ、と。だからそれほど有名ではない演技達者な役者によるささやかではあるがしっかりとしたこのドラマはこの作品を表現するにはうってつけだったのだと思った。二度目に見てもやはりドラマ版のベネット夫人の表現はちょっと誇張しすぎだと思った。ベネット夫人の誇張はハリウッド版とさほどかわらなく見えるほど。そしてギャーギャーわめく台詞の部分以外のベネット夫人は賢そうで思慮深そうにすら見える。しゃべらないときのベネット夫人の演技がちょっとできてないかなあと思ったり。(英語もよくわからないくせに批評。)コリンズ氏はハリウッド版があまりにも誇張していたので、BBC版のコリンズ氏は素晴らしかったかも、と映画を見ながら思ったのですが、ドラマを見返して、やはりコリンズ氏の演技はいいなあと思った。キャサリン・ド・バーグ令夫人はハリウッド版では有名な方が演じているそうですが、この人の扱い、存在自体がとてもアメリカ的でした。(筋書きを変えていることは結構有名みたいですね。私はこの筋書き変更はここに至るまでにすでにめちゃくちゃだと思っていたのでここの部分だけ特に気になることはありませんでした。)最後にダーシーさん。オリヴィエさんのダーシーは私には微妙でした。もみあげが気になって仕方なかった。でもドラマを見るとドラマの方にももみあげがあった。もみあげがあってもコリン・ファース!絶対コリン・ファース!
 今回DVDについていたコリン・ファースのインタビューをまじまじと見たのですが、結構面白いことを言っていた。(前に見たときは寝てしまった。眠い感じのインタビューなのだ。)ダーシーを演じるよりエリザベスを演じる方が難しいと思う、とか。なるほど、そういえば難しそう。映画版を見て、ドラマ版のエリザベスが一層素晴らしく見えました。またエリザベスはダーシーが嫌いだといいながら最初からとてもこだわっている、ということをエリザベスを演じた女優さんが発見したのだが、そういえばそうなのだ、とか。そうかなあ?と思い、またその他気になることを確かめたくてまたまた原作を読み返しているのですが、最初、ダーシーさんがエリザベスと踊りたくない、と言った辺りではこんなことを言われたらそりゃこだわるでしょ!と思ったのですが、ウィッカムさんに惹かれる辺りでは・・・これはウィッカムさんがダーシーの知り合いだからより近づきたい、知りたいと思った、というのもあるかも?と思えはじめました。それにしてもとりとめない感想だなあ・・・。
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by chatttenoire | 2008-05-11 01:27 | ジェイン・オースティン | Comments(2)

「エマ」「ジェーンに何が起こったか?」

 「エマ」(1996年)グウィネス・パルトロウ主演
 ジェーン・オースティン原作の「エマ」の映画化作品。小説はかなり苦手な感じだったのですが、私の好きなユアンが出演していることだし、もしかして映画で見ると楽しいかも?と思い、かなり期待して見たのですが・・・やっぱりダメでした。私は”エマ”さんが嫌いです。グウィネス・パルトロウは美人ではないのですが、スタイルがとっても美しく、この時代の衣装をとてもかわいらしく着こなしています。ただ、私が原作で持ったエマのイメージよりちょっと歳が上に見えました。原作ではもっともっと若く、天真爛漫で若気の至り、というのが強調されていたかなー、と。ナイトリーさんは顔は美男という風には見えませんが(失礼)やはり体のラインや身のこなしが美しい。立派な紳士に見えました。が。ユアンは紳士に見えませんでした!フランク・チャーチルという役のいかがわしさは表現できていたかと思いますが・・・やはり彼は姿勢が悪いかなあ。また(!)歌を歌うシーンがあったので、笑えました。
 淀川さんが褒めているのか貶しているのかよくわからないことを書いておられる(でもかなり真実をついていると思う。)批評文はこちら。女の私もややあくびでした。
 「何がジェーンに起こったか?」(1962年)ベティ・デイビス、ジョーン・クロフォード共演
 エマとはうってかわって白黒映画。そして骨太作品。超有名な作品なのであれこれ書くのもなんですが、やはり凄かった。ラストはちょっと前に見た「サンセット大通り」を思い出した。「サンセット大通り」の方が正統派、かな、とそれを見て思い、映画の作品紹介でB級作品的に扱われていた訳も納得しました。逆に言うとラストが惜しかったかなあ、と思います。
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by chatttenoire | 2008-03-30 02:25 | ジェイン・オースティン | Comments(0)

「説得」

 「説得」 ジェーン・オースティン 大島一彦訳(キネマ旬報社)
 この小説は「説きふせられて」という題名で岩波文庫からも出版されていますが、私はキネマ旬報社の大島一彦さんの訳で読みました。同じ訳者で「マンスフィールド・パーク」を読み、大変読みにくかったのですが、この小説は一気に読めました。訳し方が違うのか、それとも・・・。
 読みながらこの本に大いに感動していました。最初の数頁でそれをすぐに感じました。この小説はすばらしい・・・。静溢な美しさが満ちていて、単純でそれでいて複雑、控えめでそれでいて豪華・・・。クライマックスでは思わず涙ぐんでしまいました。オースティンの小説で涙が出たのは初めてではないかと思います。あとがきで、このクライマックスに至る場面の手前2章が最初の草稿から書き加えられたということを読み、大島さんが書かれてあるとおり、よくぞ書き直してくれました、と同感でした。ただし、同じくあとがきにも書かれてあるとおり、ミセズ・スミスの告白の場面は唐突な感じは確かにありましたが。
 ・・・これでオースティンの6作品を読破しました。現在の6作品の私の好きな順位は、この本を読み終えた直後ということもあるかもしれませんが、1位「説得」、2位「高慢と偏見」。「高慢と偏見」は何度でも読みたくなる魅力がありますが、「説得」は何度も読みたくなるかは未知数。なので2度目の読後の感想が少々不安ではありますが、とりあえずもう一度ちゃんとゆっくり読みたいです。3位には「分別と多感」、4位は「エマ」と「ノーサンガー・アベイ」の同位、6位は「マンスフィールド・パーク」です。「エマ」はもうちょっと時間を置いて読んでみるとその素晴らしさがわかってくるのかもしれませんが、確かに「ノーサンガー・アベイ」のような拙い作品ではなく、レベルが違うというのは重々承知しながらも現在の好みでは好きではありません。それにしてもオースティン作品を読みながらとても幸せでした。昨年の秋からとてもいい時間を過ごせました。今回、全て翻訳本を揃えたのですが、大切な宝物になりました。
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by chatttenoire | 2008-02-07 23:43 | ジェイン・オースティン | Comments(2)

「ノーサンガー・アベイ」

 「ノーサンガー・アベイ」 ジェイン・オースティン著 中尾真理訳(キネマ旬報社)
 ちょっと前に読み終えていたのですが・・・忘れそうなので急いで。
 個人的にジェイン・オースティンの6つの長編への挑戦の第5作目。6つの作品の中では一番若い時期に書き始められた作品だということ。そんな若い感じのする作品です。訳者が違うせいもあるかもしれませんが、後の作品ほど毒舌でないというか、滑稽な人物に対する描写も少し柔らかいように感じます。前半はヒロインがお気に入りの男性と踊ったり話したりする機会を一生懸命つかもうとする姿が初々しくてかわいらしいです。そこへ割り込んでくる別の男性をいかに避けるか、など、とってもささやかな事件が息詰まる描写となり描かれるところはオースティンらしく見事。
 ノーサンガー・アベイ(お気に入りの男性の実家であり僧院を改良した豪邸)へ行ってからはちょっと物足りなかったりもしたし、特にその豪邸を追い出された理由というのが全く我慢ならないというか、そんなことがあってもよいのか?と思ってしまいますが(こういうことってありだったのか?)さらっと読める楽しい小説でした。
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by chatttenoire | 2008-01-20 22:55 | ジェイン・オースティン | Comments(0)

「マンスフィールド・パーク」その他イギリス本色々

 「マンスフィールド・パーク」ジェイン・オースティン著 大島一彦訳(中公文庫)
 やっと読み終わりました。噂にたがわずちょっと読みにくい作品でした。これを読む前にオースティン3作品(「高慢と偏見」&「分別と多感」&「エマ」)を続けて読みましたが、どれもちくま文庫の中野康司さんの新訳。なんだかんだ言ってかなり読みやすい訳でした。そんな簡単文章に慣れていたせいもあるかもしれません。
 色々なものに内容が地味で登場人物が堅いと書かれてありましたが、なるほど、地味。地味というより、全く共感できないというか・・・。
 まずは、主人公の女の子の居候のような境遇に納得して異様に控えめ。それはそれでまあいいのですが、彼女が好きになるエドマンドなる従兄弟が口だけ男、道徳を垂れるのですが、自分が全くできてない、道徳ぶるのが全くうるさい男なところがなんだか・・・。こんな男をおとなしくこっそりと好きでいるだけのヒロインにはますます共感できず。そこへ突然浮気な男、ミスター・クロフォードが彼女を真剣に好きになって・・・でもどうせエドマンドと一緒になるんでしょ!、と思いつつも、そこのところからはこの話はどう決着するんだろう?と少し読むスピードが上がりました。ラスト、ミスター・クロフォードとマライアの落ちには結構びっくりしました。なるほど~。ここまで読んでやっとこの話には大いなる伏線が敷かれていたことを理解したのでした。(遅い?)道理で。ミスター・クロフォードという男には説得力がないなー、と思っていたのが、急に説得力を得ました。ラストのエドマンドはやっぱり全く理解不能ですが。彼はナイトリーさんにほとんど似ています。しかしやや格落ち。
 ファニーが実家に帰るシーン。子供時代にお金持ちの叔母の家に引き取られ、それ以来戻ったことのなかった貧乏な実家に帰り、彼女の想像を超えた荒っぽく粗末な生活についての色々な叙述がありますが、この辺りも「エマ」の中でエマがハリエットやハリエットを好きになった農夫についての偏見、差別感覚についていけなく感じるのと同じような感覚を持ちました。「高慢と偏見」と「分別と多感」では主人公はジェントルマン階級の娘たちですが、それほど裕福ではない、という設定になっており、裕福ではあるが退屈な、もしくは腹立たしい人間的に粗末な人物について辛辣な描写があり、それを読むこちら側はすーっきりする、という具合だったのですが、「エマ」、そして「マンスフィールド・パーク」ではどうも裕福な側の主張、上から目線が感じられてなりません。確かに上にたつものの苦悩みたいなものはあるでしょうけれども、下からの突き上げがかなり愉快だったものですから、何か薄い感じがするのです。

 「エマ」を読んだ後、上から目線がかなり気になって、英国の階級社会について何か書いたものはないかなー、とあれこれ読んでみました。一気に読んでしまうほど面白かったのは「イギリス人はおかしい」高尾慶子著(文芸春秋)。1998年刊行なのでちょっと古いイギリスについてですが、かなり興味深かったです。次の作品「イギリス人はかなしい」も読みましたが、こちらはちょっと落ちます。
 映画「ポター」を見た後、ビアトリクス・ポターさんについて興味が沸いたので本を探してみたら、たくさんあることあること。ありすぎくらい本が出版されています。一番読みやすそうな本は「素顔のビアトリクス・ポター 絵本をつくり、湖水地方を愛し農園生活を楽しんで」エリザベス・バカン著 吉田新一訳(絵本の家)でした。映画はやはり彼女の人生をかなり単純化していることがわかりました。そりゃそうですね。
 ナショナル・トラストにもかなり興味が沸いたのでこちらも探してみましたが、なんだかむずかしそうな本が多くて・・・楽しく写真が一杯の「図説 英国ナショナル・トラスト紀行」小野まり著(ふくろうの本)(河出書房新社)を読んで楽しみました。この本はナショナル・トラストの歴史にも触れてありますが、観光地案内的なこういう系統の本も結構たくさんあります。「英国ファンタジー紀行」山内史子著 松隈直樹写真(SHOTOR TRAVEL)(小学館)はいくつか読んだ中でもよかったです。
 「マンスフィールド・パーク」の第一巻第三章の訳注にサー・トーマスの富の源である植民地についての解説がされていて、そこで二つ本が紹介されています。「文化と帝国主義」エドワード・サイード著(みすず書房)、「ヒースクリフは殺人犯か?」ジョン・サザーランド著(みすず書房)内「サー・トーマスの富はどこから来たのか?」、どちらもまだ読む機会がありませんが、面白そうです。備忘録として。
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by chatttenoire | 2007-11-08 00:24 | ジェイン・オースティン | Comments(2)

映画「いつか晴れた日に」と小説「エマ」

 「いつか晴れた日に」はジェイン・オースティンの「分別と多感」を映画化した作品。脚本はこの作品で姉のエレノア(私が読んだ翻訳ではエリナー)を演じたエマ・トンプソン。かなり評判の良い脚本のようですが・・・細かいエピソードの多い作品を2時間そこそこのお話にまとめあげるためにはいたしかたないことだと思いますが、つい最近原作を読んだばかり、ということもあって、原作との違いがかなり気になってしまいました。というよりもエマ・トンプソンによる原作の読み直し的な脚本だったかも。
 ちょっとなー、と思った原作との違いシーンは・・・ブランドン大佐の過去の女性は貧しい人だったということになっていたのだけど、原作ではそこそこの持参金を持った女性だったのです。ところがお金目当ての結婚を仕組まれて、不倫をけしかけられ、それに乗ってしまって家を追い出され、とお金を持つが故の不幸もあったのだ、と震えてしまうエピソードだったので、まるっきり違う話になってしまったことが個人的に残念でした。その女性の娘さんもわがままな娘に育って、それでウィロビーに・・・という流れにされていたのだけども、原作では娘さんにはほとんど落ち度はなくて、母と同じく不幸は連鎖して・・・と母娘ともにとても印象的な人物、エピソードで、その話によってマリアンヌ(マリアン)がブランドン大佐を見直すことにつながっていく、という流れが好きだったので残念。あと、ルーシーには姉がいて、結構はずせない人物かな、と思うのだけどはずされていたので残念。(ルーシーとエドワードの秘密の婚約をばらすのはルーシーの姉。)そして、そして、なんと言ってもウィロビーの告白シーンが削られている!ウィロビーが何を告白しようと、いかに原作がウィロビー擁護な雰囲気を醸していても、ウィロビーを私は許せないのだけど、このシーンははずせないかな、と個人的に思ったので残念。このシーンが恋敵であるブランドン大佐の台詞で代用されていたのもちょっと・・・。
 全体の印象でもウィロビー!ウィロビーが違いすぎる!この作品で唯一の美男であるウィロビーがしょぼい・・・。一方ブランドン大佐が格好良すぎる・・・。この作品って、ラストが結構強烈で、マリアンは熱烈恋愛に失敗して、お母さん、お姉さん、その他大勢の包囲網によって仕方なくブランドン大佐と結婚するのです。結婚したからには中途半端な愛情をマリアンは注がなかった、とつまりブランドン大佐を愛した、ということにはなっていますが。ブランドン大佐はマリアンからするとしわがれた老人で、そんな老人が若い娘に恋をしてしまうのは滑稽でもあるんですが、この作品のブランドン大佐は生々しい現役の魅力に溢れすぎていたかなあ・・・。おかげでマリオンへ”数奇な運命”(個人的には制裁)が甘い味付けでぼやけてしまっていたように思います。
 と、まあ、原作の呪縛(というより私流、原作の解釈の呪縛)によって楽しめませんでした。本を読んでから数年たってから見ると、普通に見られると思うんですが。

 週末に一気に「エマ」を読み終えました。「エマ」お嬢さんがいつマリオンように制裁を受けるのか、やや楽しみにしながら読んだのですが・・・エマ様には制裁無し。拍子抜けです。これが円熟というヤツか?私はまだまだ子供のようで、そういう円熟が理解できませんでした。エマのハリエットに対するしうちはたかだか数ページの反省ではすまされない!と同時にナイトリーさんがなんだかなあ・・・。お馬鹿な若い女を導く少々お歳の紳士、というのが胡散臭い設定。「ジェイン・オースティンの読書会」でもナイトリーさんに魅力がない、という話が出てきますが、そうだよ!と思いました。しかしまあ、エマがお馬鹿な勘違いを連発していくので、ほとんどエマの視点で書かれた文章を読みながら、今度はどんな勘違いか、と推理しながら読むのは結構楽しかった。二度目はもっと楽しいらしいので、またあまり時をおかず読んでみたいと思います。
 次は「マンスフィールド・パーク」を注文中。
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by chatttenoire | 2007-10-02 02:11 | ジェイン・オースティン | Comments(9)