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「マンスフィールド・パーク」その他イギリス本色々

 「マンスフィールド・パーク」ジェイン・オースティン著 大島一彦訳(中公文庫)
 やっと読み終わりました。噂にたがわずちょっと読みにくい作品でした。これを読む前にオースティン3作品(「高慢と偏見」&「分別と多感」&「エマ」)を続けて読みましたが、どれもちくま文庫の中野康司さんの新訳。なんだかんだ言ってかなり読みやすい訳でした。そんな簡単文章に慣れていたせいもあるかもしれません。
 色々なものに内容が地味で登場人物が堅いと書かれてありましたが、なるほど、地味。地味というより、全く共感できないというか・・・。
 まずは、主人公の女の子の居候のような境遇に納得して異様に控えめ。それはそれでまあいいのですが、彼女が好きになるエドマンドなる従兄弟が口だけ男、道徳を垂れるのですが、自分が全くできてない、道徳ぶるのが全くうるさい男なところがなんだか・・・。こんな男をおとなしくこっそりと好きでいるだけのヒロインにはますます共感できず。そこへ突然浮気な男、ミスター・クロフォードが彼女を真剣に好きになって・・・でもどうせエドマンドと一緒になるんでしょ!、と思いつつも、そこのところからはこの話はどう決着するんだろう?と少し読むスピードが上がりました。ラスト、ミスター・クロフォードとマライアの落ちには結構びっくりしました。なるほど~。ここまで読んでやっとこの話には大いなる伏線が敷かれていたことを理解したのでした。(遅い?)道理で。ミスター・クロフォードという男には説得力がないなー、と思っていたのが、急に説得力を得ました。ラストのエドマンドはやっぱり全く理解不能ですが。彼はナイトリーさんにほとんど似ています。しかしやや格落ち。
 ファニーが実家に帰るシーン。子供時代にお金持ちの叔母の家に引き取られ、それ以来戻ったことのなかった貧乏な実家に帰り、彼女の想像を超えた荒っぽく粗末な生活についての色々な叙述がありますが、この辺りも「エマ」の中でエマがハリエットやハリエットを好きになった農夫についての偏見、差別感覚についていけなく感じるのと同じような感覚を持ちました。「高慢と偏見」と「分別と多感」では主人公はジェントルマン階級の娘たちですが、それほど裕福ではない、という設定になっており、裕福ではあるが退屈な、もしくは腹立たしい人間的に粗末な人物について辛辣な描写があり、それを読むこちら側はすーっきりする、という具合だったのですが、「エマ」、そして「マンスフィールド・パーク」ではどうも裕福な側の主張、上から目線が感じられてなりません。確かに上にたつものの苦悩みたいなものはあるでしょうけれども、下からの突き上げがかなり愉快だったものですから、何か薄い感じがするのです。

 「エマ」を読んだ後、上から目線がかなり気になって、英国の階級社会について何か書いたものはないかなー、とあれこれ読んでみました。一気に読んでしまうほど面白かったのは「イギリス人はおかしい」高尾慶子著(文芸春秋)。1998年刊行なのでちょっと古いイギリスについてですが、かなり興味深かったです。次の作品「イギリス人はかなしい」も読みましたが、こちらはちょっと落ちます。
 映画「ポター」を見た後、ビアトリクス・ポターさんについて興味が沸いたので本を探してみたら、たくさんあることあること。ありすぎくらい本が出版されています。一番読みやすそうな本は「素顔のビアトリクス・ポター 絵本をつくり、湖水地方を愛し農園生活を楽しんで」エリザベス・バカン著 吉田新一訳(絵本の家)でした。映画はやはり彼女の人生をかなり単純化していることがわかりました。そりゃそうですね。
 ナショナル・トラストにもかなり興味が沸いたのでこちらも探してみましたが、なんだかむずかしそうな本が多くて・・・楽しく写真が一杯の「図説 英国ナショナル・トラスト紀行」小野まり著(ふくろうの本)(河出書房新社)を読んで楽しみました。この本はナショナル・トラストの歴史にも触れてありますが、観光地案内的なこういう系統の本も結構たくさんあります。「英国ファンタジー紀行」山内史子著 松隈直樹写真(SHOTOR TRAVEL)(小学館)はいくつか読んだ中でもよかったです。
 「マンスフィールド・パーク」の第一巻第三章の訳注にサー・トーマスの富の源である植民地についての解説がされていて、そこで二つ本が紹介されています。「文化と帝国主義」エドワード・サイード著(みすず書房)、「ヒースクリフは殺人犯か?」ジョン・サザーランド著(みすず書房)内「サー・トーマスの富はどこから来たのか?」、どちらもまだ読む機会がありませんが、面白そうです。備忘録として。
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by chatttenoire | 2007-11-08 00:24 | ジェイン・オースティン | Comments(2)
Commented by kimi at 2007-12-21 00:04 x
しばらく前から読んでいたのですが、ようやく読み終わりました。
長かった(^_^;)
やっぱりちょっととっつきにくい文章でしたが、けっこう楽しめました。
でもたしかに従兄弟のエドマンドはあまり魅力的でないですよね。
ミス・クロフォードに幻滅したから、じゃあファニーでってのはあまりにも短絡的だし・・・。しかもその辺の描写が全然なかったし・・・。
ファニーが実家に帰るところは、女中や家族が荒っぽいって思ってるだけで、自分が家事を買って出たりはしないところが、現代人としてはふに落ちないというか、やっぱりなんだかんだ言ってもお嬢様なのね、なんて思ってしまったりしました。
貧乏なのに、女中が雇えるってのも不思議でした。
まだまだ当時の社会があまりわかってないせいもあるんでしょうけど(^^ゞ
chatttenoireさん、色々読まれてますよね。
私ももっと勉強せねば!
「英国ファンタジー紀行」は読んだような気がします。
こういう旅行記ってけっこう好きです♪
それではまた、参考にさせてもらいます(*^_^*)
Commented by chatttenoire at 2007-12-21 21:02
kimiさん、お久しぶりです~。
kimiさんはあと一冊でオースティン(6長編)読破ですか!私はあと2冊です。同じく「ノーサンガー・アベイ」と最後の作品です。今年中に読破したいと思っていたのに、パタリと止まってしまいました。
「マンスフィールド・パーク」は・・・エドマンドは終わりになればなるほど納得のできない男でした。でもなんだかんだと最後まで読み終えてしまえる辺り、やはりオースティンは面白いのだな、と思います。
当時の社会の背景がよくわかるともっと楽しめるだろうな、と思ってあれこれ読んでみたものの・・・ポイントが悪いのかあんまりこれ、という本が探せませんでした。多分最後の方に書いた「文化と帝国主義」や「ヒースクリフは殺人犯か?」の2冊は結構いい本なんだと思うのですが、どちらも図書館にはなくて、結構高額本なので、こちらの方もそのまま止まっています。
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